風鈴問題と吠える犬  Wind bell problem and the barking dog






楊洲周延 「二十四孝見立画合 第二十二号 呉猛」





「風鈴がうるさい」という問題





首都圏の住宅街に住んで約30年あまり。海外転勤などで不在期間もありましたが、ずいぶん長く住んでいます。

今まで、風鈴をぶら下げた人は、ご近所にはひとりもいませんでした。

時々、雑誌などで

「近所の風鈴がリンリンなって眠れない」などの記事を見ることはあったのですが、
まったく実感は湧かなかったわけです。

近所にいませんでしたから。


ところが、どうも近くに風鈴のファンが発生したらしく、

盛大にりんりんさせている今日この頃です。


正直、うるさい。

もう秋だというのに、風鈴はぶら下げられたままです。

風鈴の重みで小枝がたわんで、そのせいもあってか、

風がないように思える日でも

朝から晩まで鳴っています。

嫌な音ではないので、まあ我慢するしかないなあと。

それにしても、この風鈴の音がそんなに素敵なんでしょうか。

ちょっと共感しかねるわけです。








うるさいと言えば、散歩中に鳴きまくる犬







うちの前の道を朝6時半と夕方6時半に、判で押したように決まって通る、犬をつれた初老の男性。

なんで家の前を通るのが分かるかと言えば、

ものすごくその犬が鳴きまくるからなんです。

ワンブロック先あたりから、鳴き声が聞こえて、

おいでなさったなと思うと、

だんだん声が大きくなりうちの前に到達する。

我が家の前に小さな空き地があり、

犬の散歩でお友達になったと思しき数名が、

待ち合わせをしているかのように、そこに集合しています。


別にうちの庭に集まるわけではないので、

そのこと自体は当方とは関係ないのですが、

問題は立ち止まっている間中、もう必死にくだんの犬が鳴きまくることなのです。

最近の若い人は、ギャン泣きという表現を赤ちゃんに使うようですが、

まさにそのギャン鳴きです

他の犬もつられて、がんがん鳴き始めます。

飼い主さんたちがおしゃべりをしている間、

犬にしてみれば散歩に出たつもりが静止しているんですから、つまらないんでしょう。

ずーっと鳴いています。

はやくう。もう、いこーよー。

という感じですかね。

飼い主さんたちは、おしゃべりに夢中のようですが、

うるさくないのか、ちょっと不思議。






リモート勤務で家にいるから気になるんだ

さて、私は相も変わらず、リモート勤務です。

自宅と、自宅そばの事務所を行ったり来たりする程度で、取材や会議などで遠くに行くこともここのところありません。

すべてzoomです。

おかげさまで、zoomの操作には、相当慣れました。

考えてみれば、ご近所の風鈴も、ぎゃん鳴き犬も、前から起きていた現象だったのかもしれません。

しかし、私は忙しく朝から晩まで外出していて、これらに気が付きませんでした。

そうか、変わったのは、こちらの方なんだなと、思った次第です。

きっと、同様のことが、そこここで起きているのではないでしょうか。

今までは気にならなかったことを、ずっと家にいることによって、初めて発見する。

その発見は、いいこともあろうし、よくないこともあるでしょう。

しかし、楽しいはずの散歩に出て、あの犬はなんであんなに鳴くんだろうな。
止まっている時に鳴くのは分かるけど、散歩している時も鳴いています。

散歩が嫌いな犬もいるのかしら。