社会人大学院生  文系博士号取得に関して   Working adult graduate students try to seek PhDs in liberal arts





社会人大学院生が博士号を取得するためには





ここでは、理系ではなく、文系の博士号に絞って話をしたいと思います。

博士号に関しては、文系・理系でかなり状況が異なっており、

平たく言えば、文系の方が取得率が低くなっています。

そもそも日本ではひと昔前まで、文系ではなかなか博士号を出さず、

そのため、現在第一線で立派な仕事をされている教授陣のなかにも、

博士号を持っていないケースがまま見られます。

そのようなわけで、博士号の審査に博士号を持っていない先生が加わることも

珍しくありません。


さて、社会人院生の件ですが

18歳人口の減少や、日本の就職システムの関係もあって、文系の大学院、

それも後期博士課程(修士ではなく、博士号を追求する課程)に進学する学生は

多くありません。

博士号をとってもアカデミアへの就職がうまくいくとは限りませんし、

さりとて、アカデミア以外の就職も理系と違ってなかなかむずかしい。

そういうわけで、学生は二の足を踏みがちです。





そこで、最近台頭してきたのが、社会人院生、

それも後期課程に在籍する院生です。

社会人院生の場合、すでに職を得ており、就職の心配はない場合が多いです。

アカデミアでのポストが必要だという状況に必ずしもないのです。

もちろん、そちらの方向に転職を考えている方もおられるでしょうが、

いわゆる定年に近い年齢の方も在籍していますので、

心理的には、これから初めて就職を考えるという若い世代とは異なるでしょう。



しかし、博士号を実際に取得するのはたいへんではあります

前述したように、今べテランとなっておられる教授陣の時代には、

文系博士号が非常に取りにくかったのに対し、ここ10年強くらいでしょうか

制度がだいぶ改革され、前より積極的に博士号を出す傾向にはあります。


しかし、案外取得しないまま退学される社会人院生が少なくないようにも思います。

その理由を考えたのですが、

1)想像以上に、本職の業務が忙しく、研究に時間がとれない

2)選んだテーマが書きにくいテーマである

3)査読論文が通らない

このほかにもまだまだ理由はあると思いますが、

まずは思いつくものを挙げてみました。

1)の本職多忙というのが、実はかなり多いような印象を私は持っています。

現役のビジネスマンが自分の勉強のために時間をとるのは、大変そうです。
(会社から勧められて大学院に入っている場合は別です)

2)も多い印象です。博士論文は最短で2年間、通常3年間で書き上げるのが一般的です。

3年で書ければ、予定通りで二重丸ではないでしょうか。

4年から6年ていどかかることもざらにあります。

逆に言えば、3-4年程度で、いったん論文にできそうなテーマかどうかを

最初にじっくり考えることも大切でしょう。

あまりに大きなテーマでは、時間が掛かりすぎますし、

まだ研究予算もそれほどつかないであろう院生には厳しすぎるテーマというのもあります。

文系の場合、テーマ選びはたいてい各自が自分で設定すると思いますので、

仮説をどのように裏付けていくのか、その方法についても

前もって指導教授とよく相談する必要があります。


3)査読が通らないというのも、よく聞きます。

博士号請求論文提出前に、査読を何本か通しておく規定になっていることが多く、

その本数などはさまざまです。

査読論文については、こちらが詳しいです。


掲載雑誌のランクについての取り決めがある場合もあると聞きますが、

文系ではそれほどでもないのではないでしょうか。

これは各大学によって規定がありますから、しっかり把握しておかないと後で慌てますね。

査読にそう簡単に通らないのは、多くが経験することだと思います。

修正が入った場合の対処や、そもそもどこに投稿するのかなども

指導教授とうちあわせたいところです。


結局、本業が忙しく時間がとれないまま、数年が過ぎてしまうというケースが多いように思います


やはり、時間のやりくりの目処を立てておくこと。

自分が問題意識を持っているテーマのうち、3-4年でなんとかまとまりそうで、

かつ方法論にある程度心当たりがあれば心強い。

指導教授と常にコンタクトを取り、業務の関係でゼミに出られない日々が続いても、

研究意欲を維持すること。

などが考えられます。



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