査読論文  peer review  論文を出せ、さもなければ自滅だ publish or perish



東洲斎写楽「二世大谷鬼次の奴江戸兵衛」パブリックドメインより


査読論文とは?



研究者は論文を出すのが仕事である。教育者としての側面も持つが、論文を出さなければ研究者とは言えない。

Publish or perish
論文を出せ、さもなければ自滅する 

この言葉は本当によく引き合いに出されるもので、論文を出さなければ研究者とは言えないということである。



さて、その論文にもいろいろ種類がある。学位論文(博士論文)を別にすれば、もっとも厄介なのは査読論文である。

学会誌等に査読論文という枠があって、そこに投稿する。そうすると、まず編集委員会がその論文を査読に回すかどうかを決定する。

ここで門前払いということもあり得るのだ。
無事、査読に回してもらえる場合は、編集者は同じ分野の研究者を選び出して、論文を見てもらう。2-4名くらいが多い。その人たちが各自独立して、その論文を評価する。
投稿者からは、査読者が誰であるかは分からない。

各自独立してチェックするから、意見はバラバラであることも多い。

1)よくできている。このままで掲載
2)修正は必要だが、掲載できる
3)大幅な修正が必要。修正後再度査読する
4)掲載不可
5)誌の主旨に合致しない論文である

だいたいこんなところであろう。1)をいただくことは、きわめて少ない。
たいていは2か3。
もちろん断られることもあるし、雑誌のテーマからずれている場合もそれを指摘される。

査読結果を待つ時間が、投稿者にとっては大変長く感じられる。
実際、何ヶ月もかかる場合もあるようだ。




査読論文がないか、少ないと肩身が狭い


論文の中には、査読なしのものもある。その場合は、たいてい編集委員会の判断で掲載の可否や、修正の有無が決定される。

しかし、論文としての価値はやはり査読論文には、かなわないのである。

研究者の履歴書にあたるCVにも、査読論文、査読なしの論文はその別を明白に示して書く。
博士論文を提出する要件として、査読論文があることが指定されるケースも多い。報数はその大学院による。


査読論文を査読する側とされる側


多くの研究者が両側を体験する。私もそうだ。

自分が提出した論文を無茶苦茶に否定され、悪く評価されると、本当に腹が立つ。腹が立ちすぎて、絶対書き直さないぞ。金輪際ごめんだ!と思う。
先達の知恵で、まず最低一晩はそのまま抽斗にしまって、凍結しろという話がある。
私もそうしている。
少し時間がたつと、冷静になって、直すべきところも見えてくるし、別に全否定されているわけでもないことに気が付く。

自分が査読する側のときは、自分が査読された時の激しい感情を参考に、できるだけプラクティカルに主旨だけが伝わるように工夫しているつもりだ。

しかし、非常に消耗する体験ではある。


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