『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』 井堀利宏著
「大学4年間の」シリーズのひとつです。
このシリーズはいろいろなテーマが出版されており、テーマごとに執筆者が別になっています。
「経済学」の執筆は、東京大学名誉教授の井堀利宏氏です。
よく、会社関連の資格試験に経済学が出るんですが・・という相談を受けます
経済学はかなり幅が広く、
特に最近は「人間は合理的な判断をするとは限らない」という前提に基づいた研究も発展しており、
従来の経済学の前提「人間は合理的に判断し行動する」とは異なる研究展開も、みのがせなくなってきています。
さて、資格試験の勉強のための参考書を見せていただくと、
コンパクトに基礎的な経済学のコア部分がまとめられていることが多いです。
経済学に近い分野を勉強してきた方にはそれほど違和感はないかもしれませんが、
かなり違う分野の出身だと、
無差別曲線や限界効用などの、概念そのものになじめない感じがするかもしれません。
その上、ちょっと見、難解そうな数式やグラフが出てきますので、
その段階でげんなりしてしまうかもしれません。
この本は、読みやすく、かつ重要な部分がまとめられています
それに対して、この本は読みやすくかつ簡潔に大事なポイントが書かれていて、
読み進む気力が湧いてくると思います。
特にビジネスの現場におられる方にとっては、
マクロ経済学の部が興味深く感じられるのではないでしょうか。
数式もないわけではありませんが、頻出して頭が痛くなってしまうということもなさそうです。
また、経済学部出身でしばらく原論的な部分から離れていた人にとっては、
「ああ、そうだったな」
という感じで、納得しながら読み進められると思います。
娯楽的に読めるというほど簡単ではないですが、面白く読める本だと思います
10時間ですべて理解できるかどうかは、微妙ですが、分かりやすく書かれていて、
興味をもって読むことができる本だと思います。
私の手元にある版は第31刷(2019年)です。
2015 年が初版ですから、2019年までの段階で、もうずいぶん増刷されているんですね。
「図解」という言葉が表紙に入った版も出ているようです。
たいへん人気のある書籍だということが分かりますね。