ベーシックインカムについての議論は尽きません
ベーシックインカムとは、定期的に無条件でそのコミュニティのメンバー全員にキャッシュでお金を提供するシステムです。
キャッシュというのは、口座振り込みも含みます。
要するに「現金相当の」という意味でしょう。
ベーシックインカム(Basic Income)の特徴は、
無条件で全員に配る
キャッシュ(またはキャッシュ相当のもの)で配る
定期的に配る
などが挙げられますが、バリエーションによっては、一部が該当しないこともあります。
日本でも、コロナ禍で全員に10万円が配られたことがありました
これは、ベーシックインカムの一種というか、バリエーションとも考えられます。
無条件で全員に、キャッシュ相当(銀行振り込み)の状態で10万円が配られましたが、
定期的でないところが、上記の定義から外れる部分です。
アラスカではもう長い歴史をもつシステムです
ベーシックインカムを実施している国はまだありませんが、
アメリカのアラスカ州は、州の天然資源の売り上げを配当(dividend) として
州民全員に毎年配当しています。
金額は、その年の取引等によって変化します。
フィンランドでは2017年から2年間実証実験が行われました
また、本格導入ではなく、実証実験を小規模に実施している国があります。
たとえば、フィンランドは2000人を対象に、2017-2018年にかけて
毎月560ユーロを配るという実証実験を行ないました。
スイスでは国民投票が行われました
スイスでは、2016年の国民投票で、無条件のベーシックインカム導入案を反対多数で否決しています。
ベーシックインカムの議論
まず、いちばんよく取りざたされるのは、
財源です。どこからお金をもってくるのか?という問題ですね。
それに対しては、福祉の一元化による間接費の節減がよく答えとして挙げられます。
いろいろな形で、国民にフィードバックされているお金をベーシックインカム1本に絞ることで、手続き等が簡素化され、そこから配るだけの資金が出て来るという考え方です。
こればかりは、やってみないと分からないかなと思います。
上記のアラスカ州のように、天然資源という宝をもっている場合はまた別ですが。
次に、勤労意欲が低減するのではないかという危惧です。
これについても、諸説あり、議論が活発な点です。
また、無条件に全員に配るのではなく、困っている人に配るべきだ
という意見もあります。
で、いくらぐらいいただけるのか?
スイスの国民投票にかけられた議案の場合は、
月額で大人が2500スイスフラン(約27万5千円)、子供は625スイスフランを提唱していました。
日本円への換算は、2016年当時のレートです。
かなりの金額ですが、この案は前述のように否決されています。
ひとくちにベーシックインカムと言いましても
それだけで生活できるほどの金額なのか
生活費の一部として有効という程度の額なのか
の違いによって、まただいぶ様子が異なります。
いずれにしてもまだ、定期的な制度として確立した国家はないようですが、
今後、AI の進展によって、省労働化した場合は、可能性があるという意見もあります。